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スペシャルズ
避けていた映画館に行ったわけ
ものすごく久しぶりに、
映画館に行きました。
振り返ると、2020年初。
自粛期間が過ぎても、
密閉された空間で、
1席空いているとはいえ、
大人数が集まる、
映画は見たいけど、
映画館に行くのはちょっとな、
もう少ししたら、
アマゾンプライムで観れるかも。
なんて思って、
映画館に行くという行為を
避けていました。
けれど、あ、これは観たい!
観に行かなきゃ!
と思う映画が始まったんです。
〜政府が潰そうとした
自閉症ケア施設を守った
男たちの実話〜
こういう話を映画にするんだ、
さすが、フランス、
という思いもありつつ、
マスクと除菌シートを完備して
観に行ってきました。
スペシャルズ
行き場のない重度の自閉症児、
家庭や環境に恵まれず、
ドロップアウトした若者、
どちらも、社会から
はじき出された子どもたち。
自閉症児ケア施設を経営するブリュノと
若者の社会参加支援団体を運営するマリク。
この映画は、
パリの障害福祉と子どもの貧困、
移民問題や宗教観、多様性など
さまざまな社会問題の実情を描いた
実話です。
涙の意味
私は、ずっと泣いていました。
優しさと悔しさと、
希望と、憤りと
いろんな感情が入り混じった
説明のつかない涙が、
お腹の底からこみ上げて、
2時間ずっと
とまることなく
続いていました。
最初の涙はブリュノの声。
彼が自閉症を持つ子に話しかける声と
肩にかける手の優しさに。
そこからは自分でも説明がつかないくらい
いろんな感情が混ざり続けました。
正しさってなんだろう。
正しいと認められたところが
受け入れを拒否するならば、
拒否された子どもたちは
正しくないということなのか。
専門家って、なんだろう。
資格を持っているから、
長くそこに関わっているから、
“専門”だと言えるんだろうか。
自分自身に、ずっと問いかけていました。
闘うってなんだろう。
タイトルやチラシを見ると、
ブリュノやマリクが
政府とバトルしたように受け取れるけど、
彼らは誰とも闘っていなかった。
ただ、子どもたちのために
一生懸命関わっていただけだった。
守るってなんだろう。
「施設を守った」と書かれているけど、
公的機関がサジを投げた、
そんなふうに受け取られた。
評論されているような
弱者に手を差し伸べて
すばらしい、という
感想は持てなかったけど、
心に深く刺さったし、
染み込んできた。
もう一回観に行こうと思う。
みなさんも、もしよかったら
観てみてください。
おすすめです。
- 丸谷 香(まるたにかおり)
精神保健福祉士/社会福祉士/公認心理師
メンタルコーチ。元大学病院のMSW。就労・児童および産業分野でソーシャルワーク、心理カウンセリングなどに従事。
現在は、経営者、個人事業主、専門職向けのコーチングのほか、障害福祉事業所の組織開発、対話型発達障害研修などを行う。
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