ブログ

blog

異常ってなんだろう?

こころのレッスン

 

先日、関わっている障害福祉事業所で

全体講座をしました。

 

この事業所の利用者さんたちは、

軽度の発達障害や精神障害を持つ、

10代後半〜20代前半の青年期の人たち。

 

とても繊細で、やわらかい

そしてある意味独特なこころを持っている

そんな人たちです。

 

コロナウィルスによる自粛の影響で、

生活リズムが崩れたり、

精神的な不安が高まったり、

さまざまなかたちで不調が出てきていました。

 

コロナ自粛以来、1対1のセッションは

なんとか続けていたのですが、

複数に向けてお話をするのは久しぶりのことでした。

 

タイトルはこころのレッスン。

 

 

普通でいたい、普通でありたい

 

講座の中で、この6ヶ月の

身体とこころの動きや変化を

ふりかえっていたときのこと。

 

ある一人の人が、

ワークシートにこう書いていました。

 

何もない、大丈夫、

異常はない、普通だった。

 

繰り返しの言葉が、

自分に言い聞かせているようで、

とても切なくて、苦しそうでした。

 

「普通でいたい、普通でありたい」

以前に、そう言った人がいたことを

思い出しました。

 

ここに来られている人のように、

わりと軽度の特性を持つ人たちは、

一般社会と、支援機関との境目で、

バランスを取りながら過ごしています。

 

少しの変化や不調を、

大きく取り上げられることに

不安や恐れを抱く人も多いです。

 

苦しさや、しんどさを、

不本意に、

評価されることもあったんでしょう。

 

 

異常ってなんだろう?

 

異常って、なんだろうね、

彼のそばで、こそっと聞いてみました。

 

不思議そうに私を見つめて、

なんと言えばいいか、

言葉を探しているようでした。

 

ふつうなんだよ。

 

変化があったり、不調が出たり、

いつもとちがう自分になったり、

 

あなたが言う「異常」が出ることも、

「ふつう」の身体と心の反応なんだよ。

 

まだ不思議そうな目をして、

それでも、うなづいてくれました。

 

そして、ワークシートに、

 

汗がよく出た

眠れなかった

A(施設名)にきたかった

 

ていねいな字で、書き出しました。

 

自分のこと、ちゃんと見てあげられてるね、

そう言うと、

やっと笑顔が浮かびました。

 

しんどさに気づかないように、

がんばれる自分であるように、

大丈夫、大丈夫と言い聞かせて、

 

こころが疲れ果ててしまうまで、

自分を遠くに押しやって、

やり過ごそうとしてしまう、

 

そうやって、壊れてしまうことがあります。

 

しんどさや、不調。

戸惑いや、不安。

自分に起こる小さな「異常」を、

ふつうの中の一つとして、

 

怖がらずに口にできるような

世の中になればいい、

もっと生きやすい世界になればいい、

あらためて、心からそう願いました。

丸谷香

丸谷 香(まるたにかおり)

精神保健福祉士/社会福祉士/公認心理師

メンタルコーチ。元大学病院のMSW。就労・児童および産業分野でソーシャルワーク、心理カウンセリングなどに従事。
現在は、経営者、個人事業主、専門職向けのコーチングのほか、障害福祉事業所の組織開発、対話型発達障害研修などを行う。

サービス案内

法人向けサービス

法人向けサービス

組織の課題解決
コーチングプログラム

個人向けサービス

個人向けサービス

望む未来を実現する
コーチングプログラム

丸谷香オフィシャル