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Look ahead~前をみよう~
3日ほど前から、
夢に出てくる人がいました。
10年前のあの日。
広い公園で、たまたま出会った人。
私を助けてくれた人。
古い記憶が蘇ってきた、
鮮明な景色に
ただ、そう思っていました。
地震のこと
そんな矢先、
ニュージーランド沖での
大規模地震のニュース。
10年前の2月。
私がニュージーランドに
降り立った直後、
同じように大きな地震が起きました。
Facebookが始まったばかりで、
スマホの普及も
まだまだだったあの頃。
家族や友人、前職の仲間から
次々とe-mailが届きました。
地震があったのは南島の
クライストチャーチ。
私がいたのは北島の
オークランドだったので、
被害どころか、
揺れすら感じなくて、
ただただ、
身を案じてくれる人たちが
たくさんいたことに、
言い知れぬ感謝を覚えていました。
クライストチャーチのこと
彼女に出会ったのは
10年前のクライストチャーチ。
NZ1周旅行をしているときでした。
その年の2月の地震の影響で、
クライストチャーチには
立ち寄れないことになっていました。
「行ってももう何にもないよ」と
言われたけれど、
どうしても行きたくなって、
バスを途中下車しました。
実は私は、その4年前にも
同じ場所を訪れていました。
クライストチャーチは、
とてもとてもきれいな街でした。
石畳の通りの上をトリムが走り、
大聖堂の影でチェスをして、
それを見ながら、
街の人はのんびりカフェでお茶を飲む。
私が14年前に訪れたこの街は
そんな穏やかな色に包まれた
光が溢れる街でした。
そこから4年後。
今から10年前に訪れた
クライストチャーチは
全然違っていました。
地震の後、街のあちこちで、
崩れた建物が
そのままのかたちで残されて、
至るところで
道路工事の大きな音が響いていました。
ハグレーパークでの出会い
クライストチャーチの
街の真ん中に
ハグレーパークという
大きな公園があります。
その広い公園を、
私はただただ歩いていました。
歩きながら、泣いていました。
いろんなことを思い出したんです。
ここに来た4年前から、
今までの、いろんなことを。
涙目で歩いていると、
一人の女の人が話しかけてきました。
「大丈夫?どうしたの?」と。
大丈夫、と言いながら、
言葉に反して
ポロポロと溢れてくる涙を見て、
彼女は笑いながら言いました。
「あなた日本人でしょ?一緒に歩こう」と。
彼女はハグレーパークのすぐ近くにある
Christchurch women’ Hospital の
お医者さんでした。
当直明けで、
ウォーキングしてから
家に帰るところで、
歩きながらいろんな話を
聞かせてくれました。
地震のときのこと、仕事のこと、
自分自身のこと。
ひとしきり一緒に公園を歩いたあと、
レッドゾーンぎりぎりのところに
連れて行ってもらいました。
赤いテープの向こうに
美しかった時計台の
変わり果てた姿が見えていました。
ついでだから、と、
彼女の病院を見学させてもらって、
その後、家においでと誘われて、
気づくと私は、
彼女の家族と
ディナーを共にしていました。
前を見なさい
ホテルに送ってもらう帰りの車で、
私に話してくれました。
あなたには、今からたくさんのチャンスも
喜びも、巡り合いもある。
それは全部あなたの前にある。
前にしかないの。
後ろにはない。前を見なさい。
彼女は何度も私に
そう言ってくれました。
私がわかるように、
何度も何度も繰りかえし。
思い出しました。
私は、こういうポジティブに強引な人と、
とても強いご縁があるということ。
そして、自分にはない、
そういうタイプの人のことが、
とても好きだということも。
リンダさん、お元気ですか?
あのときは本当にありがとう。
そして、今、
私の夢に出てきてくれて
ありがとう。
- 丸谷 香(まるたにかおり)
精神保健福祉士/社会福祉士/公認心理師
メンタルコーチ。元大学病院のMSW。就労・児童および産業分野でソーシャルワーク、心理カウンセリングなどに従事。
現在は、経営者、個人事業主、専門職向けのコーチングのほか、障害福祉事業所の組織開発、対話型発達障害研修などを行う。
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