誕生日のジンクス

「かおりが産まれた年は暖冬でね…」

という言葉からはじまる

母の口ぐせ。

子どものころ、

春が来ると聞かされた昔話。

母が私を身篭った年は

本当に暖かい年で、

それを証明するかのように、

私が産まれた日は

桜が満開だった、と。

夏でもクーラーなんかいらなかった、

約４０年前の、

日本海に近い雪の降る町のこと。

３月の末に桜が咲くなんて、

本当にめずらしかったに違いなくて、

みんなが暖かさにわいていたそうです。

誕生日に桜が咲くと、

その年はいい一年になる

繰り返し聞かされたこの話のおかげで、

いつの日からか、

私の中でこんなジンクスが

できてしまいました。

でもそれは、

あながちジンクスではなくて、

編入の決断をしたとき、

長く付き合った彼と別れたとき、

人生の転機を迎えた年、

結婚を決めた年…。

思い返せばいつも桜が咲いていました。

振り返れば、いい年というより、

私にとって

大事な年だったんだと思います。

それから時は過ぎて、

温暖化が進んで、

誕生日に桜が咲かないことのほうが

めずらしくなって、

年とともに、

ジンクスに左右されることも

なくなってきました。

久しぶりに思い出したのは、

満開の桜に包まれて

大切な友だちから、

サプライズのお誕生日祝いを

してもらったからかもしれません。

生まれてきてくれてありがとう。

毎年聞かされる母からの言葉。

今年もメールで届きました。

誕生日に桜が咲くとその年はいい一年になる。

母からもらったジンクスは、

きっと、本当なんだと思います。

今年も、いい年になりそうです。