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左手で傘をもつこと

ささやかなチャレンジ

 

6月も終わりの日。

まだ梅雨明けの声は

聞こえてきません。

 

この6月に

私はささやかな

チャレンジをしました。

 

人にとっては

笑うほど小さな、

 

でも私にとっては

とても勇気のいる

チャレンジでした。

 

できなかったこと

 

数年前から抱え始めた

免疫疾患の影響で、

私の握力は極端に弱く、

 

思うように

力を入れることが

できません。

 

手首の関節が少し緩んでいて

重いものを持つと

ずれてしまうということが

以前はよくありました。

 

特に左手が弱くて、

日常生活のほとんどを

右手頼みで過ごしていました。

 

数年前まで、

その症状が

とても強かったのですが、

 

ここ数年はマシになり、

手の周辺の筋肉も戻ってきて

以前より力が入るようになりました。

 

それでもずっと

できなかったことがありました。

 

傘を持つことです。

 

傘は、重くはありませんが

風に煽られて

揺れてしまう柄を

 

支えることが

できなかったのです。

 

いつも、右手に持って

柄を首に置くようにして

傘を差していました。

 

右手の握力が戻ってきたころ

少しずつ試してみて

右手ではできるようになりました。

 

でも、左手で傘を持つ勇気は

なかなか出せませんでした。

 

左手で傘を持つこと

 

ずっと避けていた

左手で傘を持つこと。

 

なぜ急にしてみようと思ったのか

理由はもう忘れてしまいました。

 

最初は恐る恐る、

風のない日に少しだけ持つ、

という程度でした。

 

そこから徐々に

時間を伸ばしていって、

右と左、

同じくらいの長さで

持てるようになっていきました。

 

そして、ある日ふと気づきました。

あ、左手で傘が持ててる。と。

 

今はもう、怖さや気構えなく、

すっと左手が出るようになっています。

 

今、これを書きながら

あらためて思います。

 

人から見るととても小さくて

ひどく些細なことですが、

 

その小さくて些細なことは

私にとっては

大きくてとても重要なことで

 

勇気をたくさん使って

チャレンジしたことです。

 

きっと、誰でも、どんなことでも

同じなんだと思います。

 

誰かから見た何かより

自分にとっての

小さなチャレンジを繰り返して

 

人は、自分と

仲良くなっていくんだろうと

思います。

 

雨の中、傘を持つ左手は

私が思っていたより

たくましかったです。

 

丸谷香

丸谷 香(まるたにかおり)

精神保健福祉士/社会福祉士/公認心理師

メンタルコーチ。元大学病院のMSW。就労・児童および産業分野でソーシャルワーク、心理カウンセリングなどに従事。
現在は、経営者、個人事業主、専門職向けのコーチングのほか、障害福祉事業所の組織開発、対話型発達障害研修などを行う。

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