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僕は仕事が続けられなかった
こころのレッスン第二弾
先日、関わっている福祉事業所で
利用者さん向けに
こころのレッスン第二弾を
開催しました。
こころのレッスン第一弾はこちらから
https://kaori-marutani.com/blog/20200909/
今回のテーマは自分を知ること。
自分がどんな人かという
セルフイメージと、
自分が大切にしている
価値観を知ることです。
知ってほしかったのは
自分自身の価値のことです。
どうせ僕なんてダメなんだ
がんばってもできないんだ
努力するなんてムダなんだ
そんなふうに、
自分を否定したり、
自分自身を虐めたり、
無意識に、
自分を粗末に扱っていませんか?
という問いを
最初にみんなに渡しました。
仕事が続けられなかった
今月から利用を開始したばかりの
新しい人が、
一番前の席で受けてくれていました。
まだ20歳の彼は、
軽度の発達障害を持っています。
けれど、おそらく
言われないとわからない、
困りごとが一番わかりにくい
そういうタイプの人だと思います。
休憩時間に私のところに
来てくれました。
“僕は、仕事が続けられなかった” と
そう、教えてくれました。
せっかく就職できた会社を
3ヶ月で辞めた。
毎日のように怒られて、
頭が真っ白になって固まった。
どうしてできないんだろう、
やっぱり僕はダメなんだ と、
自分で自分が嫌になった。
今思えば、そのとき僕は
毎日自分を責めていた。
自分で自分を虐めていた。
そんなふうに自分を振り返って
教えてくれました。
僕は今がんばっている
できると思っていたことが
あっけなく崩れて、
持っていた少しの自信も
失っているようでした。
何かをやろうとするとき、
新しいことに向かうとき、
一番大切なのは自信です。
自信というのは、
何かができることとか
誰かより優れているとか、
そんなことではなくて、
自分で自分を信じる心のことです。
自分はこれができるんだ、
というのではなく、
自分はこれをするために
がんばることができる人なんだ、
物事に向かうことができる人なんだ、
と、そう自分で思えることです。
今の自分がダメだからがんばる、
ということではなくて、
今の自分は今の自分でOK、
でも、もうすこし進みたいから
がんばるし、がんばれるんです。
後半で、そんな話をしたときに、
笑顔を見せてくれました。
そのあとに、
自分の価値観を洗い出し、
今の自分の価値を探っていきました。
彼はこう書いていました。
“僕は、今、がんばってる”
もう一度、がんばることができる、
そう思えたことが、
もう価値なんだと思います。
彼の知らないところで、
関わっていた支援員さんが、
お礼に来てくれました。
自分のことを話すのが
苦手な彼が、
自分から話しかけに行ったこと、
辛い気持ちを話すことも、
これまでまったくなかったから、
心の中がわからなかった、と。
心配していたけど、
きっと大丈夫だと思う、
ありがとう、
と、なぜか私にお礼を言ってくれました。
僕は、仕事が続けられなかった。
僕は、今、がんばっている。
彼はまだ気づいていないかもしれません。
もう一歩踏み出していることに。
- 丸谷 香(まるたにかおり)
精神保健福祉士/社会福祉士/公認心理師
メンタルコーチ。元大学病院のMSW。就労・児童および産業分野でソーシャルワーク、心理カウンセリングなどに従事。
現在は、経営者、個人事業主、専門職向けのコーチングのほか、障害福祉事業所の組織開発、対話型発達障害研修などを行う。
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