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大切なものを守るということ

季節の発酵しごと

 

前にも書きましたが、

 

食べものとこころの
つながりを
とても大切に感じていて

 

今年に入ってから、
“食”について、
詳しく学んでいました。

 

発酵と、薬膳。

 

季節と身体
食べものとこころ

 

学ぶほどに興味が深まっていって、
自分でも、漬物や甘酒、お味噌など
昔ながらのものを
つくるようになりました。

 

好きがこうじて、
近くにある味噌蔵や酒蔵に
行ってみたいなとも
思うようになり、

 

先日、たまたま
友人に誘われて、
小豆島に行った際、

 

古くからあるという
醤の郷を訪れることができました。

糀という特別な菌

 

糀というのは
ニホンコウジカビと言われる
黄麹菌です。

 

アジアの各地に麹はあれど、
ニホンコウジカビは
日本にしか生息しない国菌だそうです。

 

この麹菌が蒸した穀物に
繁殖するときに、
100種類ともいわれる
酵素を作り出して、

 

味噌や醤油、お酒など
日本の独特の調味料を
産み出します。

 

醤もその一つです。
醤は醤油の原型です。

醤の郷で出会ったもの

 

醤の郷で訪れた
ヤマロク醤油さん。
醤油蔵を
見学させていただきました。

 

そこで見たもの。
醤油が入った
糀がびっしりついた
大きな大きな木の桶でした。

 

麹菌をはじめとする
微生物は、
タンクには生息せず
木桶には多く
住み着くことができるそうです。

 

味噌樽や醤油ダルに使われる
その木の桶は
150年間使い続けられるほど
耐久性が高いそうで、

 

その間ずっと、
糀を育て続け、
良いお醤油を造り続けて
くれるということでした。

 

長く保つことが
功を奏したのかどうか、

 

2009年にヤマロク醤油さんが
新桶を発注した際、
“戦後初めての受注”だと
言われたとのことでした。

 

その当時、木の桶を
製造できる桶屋職人さんは
関西の堺市にある
1社のみ。

 

そこももう、
閉店を余儀なくされていた
とのことでした。

 

木の樽がなくなると
糀の生息が変わる、

 

そうすると、

 

これまでの“本来の味”が、
すべて失われて、
本物の味を造ることが
できなくなる、
ということでした。

 

これは、
今から50年後、
ほぼ全ての木の樽が
使えなくなり、

 

木樽仕込みの
味噌・醤油・酢・
酒・みりん、

 

日本古来の
すべての基礎調味料の
本物がなくなるということ。

 

このお話を聞いたとき、
ゾッとしました。

 

木桶による
本物の発酵文化が
私たちの世代で
失われるかもしれない、

 

そういうことですよね。

立ち上がったプロジェクト

 

この深刻な事態を受けて、
ヤマロク醤油の社長さんが
立ち上がりました。

 

2012年1月に新桶を
3つ発注し、
小豆島の大工さん2名とともに

 

その1社だけ残っている
木桶の製造会社に
弟子入りされたのです。

 

醤油職人が
木桶職人に弟子入り、です。

 

この話を聞いて、
私は鳥肌が立ちました。

 

きっと社長さんは
醤油をつくりたくて、
味を守りたくて、
伝統をつなぎたくて、

 

ただただ、そういう
思いだったのだと思います。

 

だから、
醤油を守るために
木桶を造る決断を
されたのだと思います。

 

醤油を守るために、
醤油職人から、木桶職人に。

 

この決断と深さと重さに
私は震えてしまいました。

 

ここから、ヤマロク醤油さんの
挑戦が始まりました。

 

2013年から、
毎年1月に新桶を造る。
そして、木桶による
発酵文化を残し伝える。

 

大きな覚悟を伴った
挑戦が始まり、
今年、7年目を迎えています。

生かされるということ

 

私だったらどうだろう、
と考えました。

 

もしも、
声が出なくなったら、
もしも、
文字が打てなくなったら、
もしも、
私の心が壊れたら、

 

私の仕事は続けられなくなる。

 

そのために、
何ができるだろうか。

 

何も思い浮かびませんでした。

 

だからこそ、
この決断をした職人さんの
本物の職人としての生き方に
敬服しました。

 

見学の際に、
人間ができることは、
菌がどれだけ動きやすくなるか、

 

ただ、
環境を整えてあげるだけなんだ、
と、聞かされました。

 

私は、もっともっと
追求したいと思いました。

 

大切なものを大切にするために

 

自分に何ができるかを。
そして、
自分が何をすべきかを。

丸谷香

丸谷 香(まるたにかおり)

精神保健福祉士/社会福祉士/公認心理師

メンタルコーチ。元大学病院のMSW。就労・児童および産業分野でソーシャルワーク、心理カウンセリングなどに従事。
現在は、経営者、個人事業主、専門職向けのコーチングのほか、障害福祉事業所の組織開発、対話型発達障害研修などを行う。

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