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ずっとこの仕事を続けてほしい

思い出した言葉

 

5年目を機に、仕事の整理をしていく中で、
あるとき、ふっと、昔言われた言葉が
頭に浮かんできました。

 

「ずっとこの仕事を続けてほしい」

 

これは、
私のはじめてのクライアントさんから
言われた言葉です。

 

入職2年目で、
新しく委譲されることになった
新病院の相談室の立ち上げを任されました。

 

2年目のひよこが、一人で立ち上げです。

 

右も左もわからず、
周りを見る余裕もなく、
無我夢中で、日々が過ぎていきました。

 

そんなとき、笑顔のSさんが
相談室にやって来られました。

 

Sさんとの詳しいお話は、
メルマガのほうに書いています。

https://mail.os7.biz/add/Nmej

よかったらみてください。

 

進行性の免疫疾患を抱えていたSさん。
別の病気を併発されて、
自宅近くの大きな病院へ転医され、
それ以降、会うことができませんでした。

 

Sさんが亡くなったとき、
ご主人が連絡をくださいました。
お焼香に訪れた際に、ご主人から聞かされました。

 

あなたに、ずっとこの仕事を続けてほしい、
そう、言ってましたよ  と。

 

ご主人は、私にそれを伝えるために、
連絡をくださったのでした。

 

受けとめられなかった今まで

 

その言葉は、とてもうれしくて、
でも同時に、とても重くて、強くて、
そのときの私には、受けとめられませんでした。

 

キャリアを何年積み重ねても、
私はずっと迷っていました。
この仕事を、ずっと続けていけるのか、と。

 

経験を重ねるほど、
難しさと、責任の重さ、影響力の強さを
怖いほどに感じていたからです。

 

その言葉を遠ざけるように、
記憶にフタをしていました。
思い出さないように、見えないように。

 

降りてくる言葉は必然

 

人も、言葉も、チャンスも、
そしてもちろん課題も、
すべては、自分にとって
ベストなタイミングで来てくれる、

 

私はそう思っています。

 

もっと早く知りたかった、
もっと早く出会いたかった、
そう思うことがあったとしても、

 

目の前に出てきたときが、
自分にとってベストなタイミングです。

 

だから、なぜ、今、このタイミングで
Sさんのことや、この言葉を思い出したのか、と、
探る必要はありませんでした。

 

きっと、私にとって、
今、必要なことばだったから、
頭の中に浮かんできたんです。

 

はじまりの場所

 

Sさんは、京都にある知恩院に
眠っていらっしゃいます。
彼女の希望でそこに埋葬したと、
ご主人に教えてもらっていました。

 

驚くほどの偶然ですが、
私は、一時期、
知恩院境内にある学校に通っていました。

 

ずっと足を向けられなかった場所だけど、
やっと、ごあいさつできる自分になれた、
そう思って、お盆を前に、お墓まいりに行ってきました。

 

久しぶりに訪れた知恩院。
三門も、そこから続く石階段も、御影堂も、
記憶にあるよりも、ずっと荘厳で立派でした。

 

手を合わせながら、
ここであった、
いろんな思い出が浮かんできました。

 

人も、街も、食べるものも
出会いも、体験も、感情も
はじめてのことばかりでした。

 

たくさんのはじめてが詰まった、
きらきらとした思い出の、
はじまりの場所がここでした。

 

ずっと虚勢を張ってきたように思います。
わからないとか、知らないとか、
そういうことが言えずに、
大丈夫な自分であろうとしていました。

 

でも一方で、
見た目どおりの(笑)、弱くおとなしい自分を
都合よく演じることもありました。

 

そうすると、
もてはやされて、大事にされて、
いつの間にかそれが安心感に変わっていました。

 

それに慣れると、
今度はそこから抜け出すことが
難しくなっていました。

 

そんな迷宮のはじまりもここでした(笑)

 

子どものころの、守られて覆われた世界を
良くも悪くも、ビリビリに破って、
新しい世界に連れ出してくれた

 

私にとっては、そういう場所でした。

 

ずっとこの仕事を続けてほしい

 

手を合わせながら、振り返っていました。
あぁ、結局、ずっとこの仕事をしてきたなぁ
と、気づきました。

 

20年、迷いながら続けてきて、
やっと覚悟ができたんです。
だから、思い出したんでしょう。

 

ソーシャルワーカーという役割が、
トップマネジメントコーチとか、
心理コンサルタントとか、
いろんな肩書きに変わったとしても、

 

人と向き合う仕事をするということは、
きっと、ずっと変わらない。

 

「ずっとこの仕事を続けてほしい」

 

長い間、受けとめられなかったこの言葉が
ようやく私の中になじんで、
「はい」と答えることができました。

 

「ずっとこの仕事を続けていきます」
手を合わせて、そう、約束してきました。

 

 

 

丸谷香

丸谷 香(まるたにかおり)

精神保健福祉士/社会福祉士/公認心理師

メンタルコーチ。元大学病院のMSW。就労・児童および産業分野でソーシャルワーク、心理カウンセリングなどに従事。
現在は、経営者、個人事業主、専門職向けのコーチングのほか、障害福祉事業所の組織開発、対話型発達障害研修などを行う。

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